ドン=フリークスは、正体を隠された人物ではない。役割がまだ描かれていないだけの人物です。
この名前が出るのは、ジンが1度語った場面だけ。しかもそこでジンは、答えではなく3つの可能性を並べています。よく見かける説を当てはめてみると、片方は原作の内側、片方は外側にあることがはっきりする。
33巻あたり、暗黒大陸編の入り口までのネタバレを含みます。読み進めている途中の方はご注意ください。
ドン=フリークスが出てくるのは33巻の1場面だけ
出どころは33巻、No.344「著者」。ジンが暗黒大陸について語る場面です。
ジンが語ったのは、こんな内容でした。300年以上前、たった一人で無限海(メビウス)沿岸をくまなく探検しようとした人物がいる。その探検を本にした。
書名は『新大陸紀行』で、『東』と『西』がある。見つかっているのは『東』だけで、『西』は1冊も出てきていない。
ジンは、西が出てこない理由として3つの可能性を挙げる。まだ見つかっていないだけ。書き上げる前に挫折して本にならなかった。あるいは、今も書いている途中。
そのうえで、暗黒大陸には究極の長寿食ニトロ米と、万病に効く香草がある。それらを手にしていれば300年生き続けることも可能だ、とも言っている。
話の締めで名前が明かされる。ドン=フリークスです。
材料はここまで。全部ジンが口にした内容で、人物像も血縁も語られていません。生死についても、可能性に触れているだけで断定はされていない。
ニトロ米と香草がどこから来たものかは 暗黒大陸の五大厄災 にまとめてあります。
生存説の出どころは、ファンではなく原作の中にある
まず、いちばん誤解されやすいところから。
「ドンは今も生きている」という読み方は、考察サイトや質問サイトで広く出回っています。ファンが原作を越えて足した説だと思われがちですが、逆です。
「今も書いている途中」は、ジンが挙げた3つの可能性の1つ。長寿食と香草を根拠に出したのもジン本人でした。作中ではっきり書かれた選択肢です。
原作を離れるのは、その先。3つのうち1つを選び、「そうに違いない」と確定させるところです。ジンが示した3つの可能性は、まだどれも消えていません。
まだ見つかっていないだけ、という可能性も、挫折した可能性も、同じ重さで残されたまま。ジンは並べて話を終えています。
ジンの話に沿って読むなら、こうなる。生きている可能性は、作中でジン自身が口にしている。ただし、生きていると決まったわけではない。
ドン=フリークスはゴンとジンの先祖なのか
いちばん検索されているのが、この読み方です。まとめサイトでも質問サイトでも、フリークスという姓の一致を根拠に先祖ではないかと語られている。
ここで原作にあるのは、姓が同じという一点だけ。血縁を示す説明も、系図に触れる場面もありません。フリークス家をさらに遡る話、つまり先祖がどこから来たのかは、まだ描かれていない。
姓の一致だけなら、偶然として済ませることもできる。ただ、それで片づけるのも無理があります。
ジンはこの人物の探検を読み込み、暗黒大陸へ向かうチームに語って聞かせている。同じ姓の人物が書いた本を、たまたま読んだという扱いにはなっていない。なお、フリークス姓で暗黒大陸に結びつくのは、今のところジンとドンの2人。ゴンはくじら島に戻ったままで、この話には出てきていません。
関係があると読むのは自然。ただし血縁だと確定させる材料は、まだ出ていません。
「ジンの祖先だから」と前提を置いて話を進める解説を見かけたら、そこは原作に書かれていない部分。読み方としては通っていても、確定した設定ではない。
ジンが暗黒大陸に向く理由そのものは ジンの目的 で別に扱いました。
ドンとゴンが同一人物という読み方が噛み合わない一点
正体を既存の人物に当てはめる読み方もある。ドンとゴンは同一人物ではないか、というもの。赤子に戻った説・転生説も、同じ枠の読み方です。
これは、原作の前提と噛み合いません。ジンは西を「今も書いている途中」かもしれないと語っている。その可能性を取るなら、ドンと現在のゴンは同時に存在してしまう。
残る2つを取っても結論は同じ。まだ見つかっていないだけ、挫折した、のどちらでも、ドンは300年以上前に東を書いた人物のまま。そちらの可能性でも、現在のゴンと結びつく描写はありません。
そもそもこの読み方は、「ドンの正体は伏せられている」という前提から始まっている。ところがNo.344は、著者の名前を最後に明かして終わる回。思わせぶりには出ているものの、正体を推理させる手がかりは置かれていない。
原作にあるのは、ドンとゴンが別人として並んでいる状態だけ。同じ姓を共有する別の人物、というのが今の原作に沿った読み方だと俺は見ています。
回収されていない謎の全体は ハンターハンターの未回収伏線 でまとめています。
3つの説を原作からの距離で比べる
同じ基準で比べると、位置の違いが分かりやすい。
| 原作からの距離 | 説 | 言えること |
|---|---|---|
| 内側 | 今も生きている | ジンが挙げた3つの可能性の1つ。1つに絞る根拠はない |
| すぐ外 | ゴンとジンの先祖 | 姓の一致まで。血縁の明言はない |
| 遠い | 正体はゴン | 西を今も書いている可能性と両立しない。残り2つでも結びつく描写はない |
こうして見ると、ドンは正体を伏せられた人物というより、役割がまだ描かれていない人物に見えます。
この2つは似ているようで違う。正体が伏せられているなら、作中に手がかりが置かれる。役割が描かれていないだけなら、出てくるまで材料は増えません。
ジンが残したままの3つの可能性を、こちらで勝手に1つへ決めない。それが今のところ、いちばん原作に近い読み方だと考えています。
まとめ
- ドンについて書かれているのは、33巻No.344でのジンのセリフがほぼすべて
- 確定しているのは、300年以上前に無限海沿岸を探検しようとし、『新大陸紀行』を書いた人物であること
- 生存説の出どころは原作。ただしジンは3つの可能性を並べただけで、絞ってはいない
- 先祖説は姓の一致まで。血縁を示す記述は出ていない
- 正体をゴンに当てはめる説は、西を今も書いている可能性と両立しない
クラピカの死亡説も、確定している仕組みと未確定の結末が混ざっています → クラピカ死亡説の根拠は3つ
ゴンの家族をめぐるもうひとつの通説は ゴンの母親は本当にミトさんなのか で検証しました。

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