ヂートゥの念能力は速さを活かせていない|キルアの神速とは使い道が逆

ヂートゥとキルアは、どちらも作中屈指の速さを持っている。それでも片方は速さを勝ちに変えられず、もう片方は変えられた。分かれ目は、速さを何に変換したかでした。

比べる基準は4つ。速さの出どころ、速さを何に変えるか、能力と速さの噛み合い、通じない相手が出たときの備え。大きな差が出るのは後ろの3つです。

※キメラアント編、主にヂートゥとモラウの戦いと、キルアの神速が使われる場面に触れます。

ヂートゥとキルアの速さはどこから来ているか

ヂートゥはチーターとの配合種のキメラアントで、師団長の1体。脚の速さは作中でも屈指です。戦い慣れたモラウとナックルですら、慣れるまで時間がかかった。

もっともモラウは、早い段階で見抜いていた。ただ速いだけなら、いくらでも対処できる、と。戦いはそのとおりの結末になります。

ヂートゥが最初に使った念能力は、相手を念空間に閉じ込めて鬼ごっこを始めるもの。作中で名前は明かされていない。閉じ込められたのはモラウで、鬼にされた側はヂートゥに触れない限りその空間から出られません。

8時間触れられなければ、鬼にペナルティが科される。ペナルティの中身も不明のままです。そしてヂートゥが一度でも捕まったら、この能力は二度と使えない。

系統は作中で名指しされていません。ファンの間では具現化系と見る意見が多いものの、公式の資料では確認できていない。

キルアの「神速(カンムル)」は、オーラを電気に変えて自分の末梢神経へ流し込む能力。反射そのものを引き上げ、考えるより先に体が動く状態を作ります。オロソ兄妹との戦いから発想を得た技。後にユピーを相手に速さで押し、プフの分身にも通用しました。

ヂートゥとキルアの神速を4つの基準で比べる

基準 ヂートゥ キルア
速さの出どころ 生まれ持った脚 念で後から作った反射
速さを何に変えるか 触られない状態を保つ 一撃を当てる、その場から離れる
能力と速さの噛み合い 脚の速さに乗らない 電気が体の反応をそのまま押し上げる
通じない相手が出たときの備え 捕まった時点で能力を失う 引く判断が最初から選択肢にある

生まれ持った速さと、あとから作った速さ。出どころが違うだけで、その先の使い道がここまで分かれました。

ヂートゥの速さは、捕まらないために使われた

鬼ごっこは、捕まらないことに全部をかけた能力。

そもそも勝利条件が攻撃ではありません。8時間逃げ切るまで、相手を直接倒す道筋が能力の中に用意されていない。速さの用途が、攻めではなく守りに寄っています。

だからヂートゥは、逃げながら攻める手段を戦いの最中に足すことになる。右腕にボウガンと一体化したクロウを具現化する技です。追い詰められた場面で生み出した別の発で、鬼ごっこの能力にもともと組み込まれていたものではない。

キルアの神速はどうか。こちらは結論を出すために使われます。相手の攻撃をかわして一撃を通すか、その場から抜けるか。どちらも短時間で決着をつける使い方です。

同じ「速い」でも、ヂートゥの速さは時間を引き延ばし、キルアの速さは時間を縮める。向きが逆でした。

ボウガンは速さを助けなかった

ヂートゥの評価がいちばん分かれるのは、速さと能力の噛み合いだと思います。

具現化したボウガンは、本人の脚の速さに追いつかない。速さを活かせないどころか、動きを遅らせている。念で作ったものが、生身の速さより遅いわけです。

ヂートゥはモラウに敗れた後、3つ目の発を会得する。プフの助けで身につけた「紋露戦苦(モンローウォーク)」。披露する前にシルバに殺されたので、どんな能力だったのかは分かっていない。

念にはメモリ(容量)の考え方があります。強い能力者ほど、能力を絞って一点に容量を寄せる。ヂートゥは反対に、能力を次々に増やしていった。しかも中身が分かっている2つは、どちらも脚の速さを直接強くしていません。

神速のほうは、地力の上にそのまま乗ります。電気に変えたオーラを神経に流し、体の反応を引き上げる。もともと暗殺者として鍛えた身体があり、能力がその延長にある。地力と能力が同じ方向を向いている形です。

俺が思うに、ヂートゥの敗因は速さ不足ではありません。原因は、どの発にも速さを勝ちに変える仕組みがなかったことです。

格上が現れたときに残るもの

3つ目の差は、相手が上だったときの備えです。

ヂートゥの能力には、重い制約がついている。一度でも捕まったら二度と使えない。制約と誓約の考え方で見ると、差し出しているものは大きい。

それに対して見返りは、捕まらない時間を作れることにとどまるように見えます。失敗したときに残る手段もありません。

キルアは、勝てないと判断したら引く。ユピー戦では電気を使い切った時点で戦い続けず、その場を離れました。プフの分身に追われたときも、コムギを背負って逃げ切っている。

速さは、攻めるためだけでなく、退くためにも使える。撤退できるぶん、能力を失わずに済みます。

同じ備えの話は、ナックルモラウにも当てはまります。あの2人も単体では格上に届きませんが、稼いだ時間を別の誰かに渡せる。ヂートゥには渡す先がありませんでした。

速さを勝ちの理由だと考えるかどうか

3つの差は、たぶん同じところから来ています。速さをどう見ているかの違いです。

ヂートゥは、自分の速さを勝ちの理由そのものだと考えていたように見える。だから能力も、その速さを保つ方向に組まれた。捕まらない、追いつかせない、時間を引き延ばす。速さが揺らがない限り負けない、という前提の作りです。

キルアは違います。自分が最強ではないと知っているところから始まっている。だから速さは、勝つための道具でもあり、退くための道具でもある。前提が違うから、同じ能力の使い方にならない。

冨樫の描き方を見ていると、速さそのものを強さとして扱っていないと感じます。ゴンとキルアの念能力でも、ユピーの念能力でも同じでした。能力の価値は数値の高さではなく、その数値を何に使えるかで決まっている。

生まれつきの才能があり、念も覚え、発を3つまで増やして、それでも届かない。速さは持っているだけでは強さにならない、という描き方でした。

まとめ|ヂートゥの速さが勝ちに届かなかった理由

  • 2人を分けたのは速さの量ではなく、速さを何に変換するかという設計の向き
  • ヂートゥは速さを勝ちの理由そのものと見ていた。だから能力も、その速さを保つ方向に組まれている
  • 鬼ごっこの能力は、8時間逃げ切るまで相手を直接倒せない作り。攻める道筋が能力の中にない
  • 戦闘中に具現化したボウガンは本人の脚より遅く、最大の武器である速さに乗っていない
  • キルアの神速は、当てる・抜けるという結論を出すための速さ。撤退にも使えるので、格上と当たっても能力を失わない

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