父を探すゴンと同じ形で動くのは、幽☆遊☆白書なら雪菜。主人公の浦飯幽助でも、キルアと組まれがちな飛影でもなく、生き別れの兄を探して人間界へ来た妹です。
探される側の兄は飛影。幽☆遊☆白書では「探す側」と「自分からは出てこない側」が兄妹に分かれている。ハンターハンターでその2役を受け持つのは、ゴンとジンの父子です。差が出るのは探される側。ジンは最後にゴンと向き合い、飛影は名乗らないまま兄探しを終わらせようとします。
※幽☆遊☆白書は飛影と雪菜の関係と魔界編の結末、ハンターハンターは会長選挙編と暗黒大陸編の入口までの展開に触れます。ハンターハンターは単行本既刊分(〜39巻)まで。
幽遊白書とハンターハンターの似てるキャラの対応表は、見た目と立ち位置で組まれている
幽☆遊☆白書は、冨樫義博の前の連載作。冨樫の作品どうしなので、2作の人物を見比べたくなる。
まとめサイトの renote には、こんな組み合わせが載っています。見出しは「【ハンターハンター】×【幽遊白書】ー非公式」で、並ぶのは次の4組。
- ゴン×浦飯幽助
- キルア×飛影
- クラピカ×蔵馬
- レオリオ×桑原和真
主人公どうし、小柄で速い相棒どうし。見た目とチームでの立ち位置で組めば、たしかに納得がいく。ただ、何を求めて動いているかで比べると、いちばん上のゴン×浦飯幽助から合わなくなります。
幽助は交通事故で一度死に、生き返って霊界探偵になる。動く理由は、霊界から来る指令。物語の後半では、先祖の雷禅の誘いに乗って魔界へ向かう。血のつながる相手に会いに行く点はゴンと同じでも、幽助は呼ばれて行く側でした。
ゴンとジンは「探す側」と「探される側」に分かれている
ゴンのほうは、誰にも呼ばれていない。くじら島でミトに育てられ、父ジンがハンターだと知って、自分から島を出る。ハンター試験もグリードアイランドも、ジンに近づくための道のりでした。
一方のジンは、ゴンを迎えに来ない。ゴンに残した箱のテープに入っていたのは「それでも会いたきゃ探してくれ」という言葉。会うかどうかは、探す側に任されている。
この「片方が探し、片方は自分から出てこない」組み合わせこそが、ゴンの旅の形だと俺は思う。幽☆遊☆白書でこの形を持っているのは、幽助ではない。飛影と雪菜の兄妹です。
ジンが箱にどんな条件を付けて残したかは、ジン=フリークスは父親失格か で追っています。ジンが何を目指して動いているかは ジンの目的は“探すこと”そのもの へ。
幽遊白書の雪菜は兄を探し、飛影は探される側に立つ
雪菜は飛影の双子の妹で、氷女の少女。生き別れの兄を探すために、人間界へ来た。自分の氷泪石を兄に渡してほしいという口実で、兄の捜索も頼んでいます。
ただし、探す理由はゴンと違います。兄を探し出すのは、氷河の国への復讐のため。会いたい気持ちで探すゴンとは、ここが重ならない。重なるのは「肉親を探して自分から動く」という形だけです。
探される側の兄・飛影は、生後まもなく氷河の国から魔界の森へ投げ落とされた子でした。
雪菜と飛影、ゴンとジンを並べると、違うのは探される側の動き
比べる基準は3つ。誰が誰を探すか、探される側も探しているか、見つけたあと向き合うか。
| 基準 | 幽☆遊☆白書(雪菜と飛影) | ハンターハンター(ゴンとジン) |
|---|---|---|
| 誰が誰を探すか | 妹の雪菜が兄を | 息子のゴンが父を |
| 探される側も探しているか | 探していた | 探していない |
| 見つけたあと向き合うか | 兄と名乗らない | 世界樹の上で向き合う |
探す側どうしは、形がそろう。肉親の側が、自分の足で相手を探しに出る。差が出たのは、探される側どうしでした。
飛影も、妹を探していた。生きる目的は、妹のいる氷河の国と、母の形見の氷泪石を見つけること。氷河の国を探すために、邪眼の移植まで受けた。
その手術の代金が「妹を見つけても兄と名乗らない」という条件でした。本人も、最初から名乗るつもりはないと言い切っている。
そして飛影は雪菜を見つけ、幽助たちより先に救い出す。それでも、兄だとは名乗りません。雪菜は飛影が兄だと知らないまま、信頼を寄せている。
ジンは逆で、自分からゴンを探しには出ない。テープの言葉どおり、会うかどうかはゴンに任せたままです。
待ち合わせの場所を世界樹のてっぺんと決めたのはジンでも、登ったのはゴンのほう。ジンが降りてきて会いに来たわけではない。そのかわり、ゴンが登りきったあとは向き合って話しました。
キルアと飛影は、きょうだいで見れば組める
対応表の4組が、目的で見ると全部外れるわけではない。キルア×飛影は、きょうだいで見ればそのまま組めます。
キルアは、家に閉じ込められていたアルカを連れて、ゾルディック家を出る。飛影も、妹を見つけることを生きる目的にしていた。どちらも、きょうだいのために動く兄です。
違うのは名乗り方。キルアはアルカを妹と呼び、隣に立って守る。飛影は妹のそばにいても、兄だとは言いません。キルアと飛影が重なるのは「きょうだいのために動く」まで。
アルカの呼ばれ方は、アルカの性別は本編で割れている にまとめています。
クラピカ×蔵馬は、目的で見ると組めない。クラピカが追うのは、同胞の仇と緋の眼。蔵馬が動いたのは、人間の母を救うためでした。仇を討つ側と、家族を守る側で分かれる。
兄妹は名乗らずに兄探しを閉じ、父子は向き合って次へ進む
探される側に差が出たのは、飛影には名乗らない条件があり、ジンには無いからだと俺は見ています。
飛影は最後に、雪菜の氷泪石を蔵馬に託す。兄は死んでいたと伝えて、石を返してほしいと頼みます。名乗れない兄が妹の兄探しを終わらせるには、兄はいないことにするしかなかった。
ジンには、名乗りを縛る条件がありません。ゴンが世界樹を登りきれば、そのまま向き合える。ゴンの父探しはそこでひと区切りつき、話はジンも加わる暗黒大陸への渡航へ移っていきます。
探す側と自分からは出てこない側に分かれる形は、2作で同じ。名乗らない条件を背負った飛影は兄探しを閉じさせ、条件の無いジンは向き合って次へ進みました。
まとめ
- renote の非公式の対応表は、見た目とチームでの立ち位置で組まれていて、目的で比べるとゴン×浦飯幽助から合わなくなる
- 父を探すゴンに目的の形で重なるのは、兄を探して人間界へ来た雪菜。ただし雪菜の探す理由は氷河の国への復讐で、会いたい気持ちとは重ならない
- 探される側の差は、名乗らない条件から来ている。飛影は名乗らないまま兄探しを閉じさせ、ジンは世界樹の上でゴンと向き合った
- キルア×飛影は「きょうだいのために動く」までは組めるが、妹と呼んで隣に立つキルアと、名乗らない飛影で分かれる
ジンが「探させる」人物として描かれている理由は、ジン=フリークスは父親失格か で読んでいます。クラピカの目的は 緋の眼はなぜ市場を渡り歩くのか が詳しい。レオリオの目的は、レオリオはまだ大金を手にしていない で追っています。
