ウイングが最初に教えたのは纏|順番を崩さなかった指導

掲示板やまとめでは、ウイングを師匠として物足りないと評する声が定番です。基礎しか教えていない、あとから出てくるビスケと比べて見劣りする。

天空闘技場での指導を原作で追うと、この評は半分しか当たらない。ウイングが最初に持たせたのは纏、つまりオーラの止め方でした。強くする技は、どれも後ろに回っている。

彼自身の強さが分からないという指摘のほうは、原作を読んでもそのとおりだ。

※ネタバレ注意。天空闘技場編の展開に触れています。

ウイングの強さと指導が物足りないと言われる理由

この評は、大きく3つに分かれます。

1つ目は、ウイング自身が戦う場面がほとんどないこと。心源流の師範代でありながら、実力の分かる勝負が描かれない。

2つ目は、あとからビスケが登場し、ゴンとキルアを鍛え直すこと。

3つ目が、教えた中身そのものへの不満だ。四大行と水見式までで終わっている。ビスケのように堅を長時間続けさせる詰め方はしていない、という見方です。

前の2つは強さと登場順の話で、教え方には触れていない。きちんと確かめる必要があるのは3つ目です。

ウイングがゴンとキルアに念を教えた順番

天空闘技場でウイングがしたことは、この順番でした。

したこと
1 念を「燃」という別のものとして説明した
2 閉じていた精孔(しょうこう)を強引にこじ開けた
3 漏れ出るオーラを止める纏を課した
4 ヒソカと戦うのは危険だとして、2か月は試合に出ないよう言い渡した
5 禁を破って200階の初戦に出て重傷を負ったゴンを、平手で打った
6 試合も念も一切禁じ、ゴンの左手に誓いの糸を結んだ

キルアは、この「燃」の説明に納得していない。ごまかされていると気づきながら、それ以上は追えなかった。

精孔を開いたあと、2人は纏をすぐに会得します。ウイングはその速さに驚いている。

最初に持たされたのは、漏れているオーラを止めるだけの技です。オーラを増やす技でも、飛ばす技でもない。

ウイングが最初に持たせた纏は、攻撃力を持たない技

念の基礎4つのうち、纏は攻撃力に直結しません。体から漏れるオーラを止め、一定量を保つだけの状態です。

それでも、これができないとオーラが尽きて動けなくなる。念能力者としての土台であり、同時に体を守る膜でもある(→ 絶・纏・練・発はどう違う?)。

順番として、ここから始めるのは理にかなっている。危ないものを教える前に、止め方を先に身につけさせている。

強くする技から入っていれば、2人はもっと早く強くなれたはずだ。才能の面ではその余地がありました。ウイングはそこを選んでいません。

「燃」という説明は、知る順番をずらさないためだった

指導として一番引っかかるのが、最初の「燃」です。

嘘を教えた場面として読めば、たしかに不誠実に見える。ただ、この時点の2人は念を知らないまま200階へ上がろうとしていました。

念を先に教えれば、2人は使ってしまう。知る順番と使える順番がずれたときに何が起きるかを、ウイングは分かっていたと読める。だから質問を止めて、時間を稼いだ。

ズシに対しては、時間をかけて自然に精孔が開くのを待つやり方を取っていました。ゴンとキルアに強引な方法を使ったのは、期限が迫っていたからです。

平手打ちの理由は、勝ち負けではなかった

ゴンは200階での初戦でギドに挑み、重傷を負ってウイングに平手で打たれます。医師の診断は全治4か月。

叱られたのは負けたからではない。そもそもこの試合は、ウイングが2か月待つよう止めていたものです。禁じられていた場所に出て、そのうえ守りまで捨てた。

戦い続けるために、ゴンは試合中に自分から纏を解いています。それを見たウイングは「あれは…絶!?」と反応した。まだ絶を教わっていない段階で、そこへ行き着いていたからです。

念による攻撃は、念でしか防げない。纏を解いた体で、念を込めた独楽の攻撃を受けることになる。最初に持たせた止め方を、本人が自分で外していた。

このあとウイングが禁じたのは修行だけではありません。試合も念も一切禁じ、ゴンの左手に誓いの糸を結んでいる。禁じることが、この人の指導では罰ではなく手順の一部になっています。

念の重さを条件と引き換えに扱う仕組みは 制約と誓約は”念の交換レート” で整理しました。

通説と一致する点|ウイングの強さは確かに分からない

3つの評のうち、1つ目はそのとおりです。

ウイング自身の実力は、原作の描写からは測れない。本格的な戦闘の場面がなく、どこまで戦えるのかが示されないままです。強さのランキングに置けない人物であることは、認めるしかない。

ただ、それは強さが描かれていないという話であって、指導が足りないという話ではありません。測れないことと、足りないことは別だ。

ビスケとの比較にいたっては、前提から食い違う。あちらが担当したのは、四大行と水見式まで終えた2人を伸ばす段階です。しかもビスケはウイング自身の師でもある。下に置いて比べる話には、そもそもならない。

原作から言えるのは、渡す順番を崩さなかったということ

ウイングの指導には、一貫した形があります。

止め方を先に教え、使うことは禁じ、破ったら止める。強くする段階は、どれも後ろに置かれている。

この順番は、ゴンのその後の進み方と正面からぶつかります。ゴンは制約を重ねて威力を上げる方向へ向かった(→ ゴンの念能力ジャジャン拳が単純すぎる理由)。最初に止め方を教わった人物が、止まらない使い方を選んでいく。

ウイングは「とんでもない怪物を起こしてしまったのかもしれません」と漏らしています。順番を守ったうえで、それでも危ういと分かっていた側の言葉だ。

まとめ|ウイングは順番を崩さなかった師匠

  • 物足りないという評は3つに分かれる。戦闘描写の少なさ、ビスケとの比較、そして教えた中身が基礎だけだという不満
  • ウイングが最初に持たせたのは纏。オーラの漏れを止め、体を守るだけの技だった
  • 「燃」という別の説明でかわしたのは、知る順番と使える順番をずらさないためだと読める
  • ゴンが打たれた理由は、止められていた試合に出て、そのうえ纏を解いて守りを捨てたこと。負けたからではない
  • ビスケはウイング自身の師でもあり、担当したのは四大行と水見式まで終えた2人を伸ばす段階だった

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