ハンターハンターの会議で決まるのは手順だけ|結論は外で出る

ハンターハンターの会議では、結論そのものが決まりません。決まるのは、結論をどう出すかという手順だけです。

十二支んは次の会長を選ばず、選び方を選んだ。V5はカキンをどうするかには触れず、取り分の割り方と見張り役を決めた。討伐隊も、王の倒し方は決めないまま突入の時刻と手の分け方だけを決めている。

※キメラアント編・会長選挙編・暗黒大陸編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

十二支んの会議が決めたのは、会長の選び方だった

ネテロの死後、十二支んは次の会長を決める会議を開く。No.319「抽選」の場面です。

ここで話が止まります。パリストンが「ボクが会長に立候補しますから、選挙やめません?」と持ちかけ、まとまらない。結局、選出方法そのものをくじ引きで決めることになった。

引かれたのはジンの案だ。全ハンターが候補者であり、同時に投票者でもある、という決め方です。

当選の条件(投票率95%以上・過半数)は、この案の中身に入っていない。選挙のルールとして先に定められていた側です。投票率95%以上はネテロが遺した規定にあります。

決まったのは誰が会長になるかではない。会長の選び方だけだ。

V5の会合と討伐隊の作戦会議も、決めたのは手順のほう

同じ形は、ほかの2つでも見つかる。V5の会合は、カキンをV6として迎え入れた。決めたのは、暗黒大陸から持ち帰る利益の6等分と、ビヨンドの監視役をハンター協会に振ること(→ ハンター協会は国家の上にいない)。何を持ち帰るかも、誰が行くかも決めていない。

キメラアント討伐隊の作戦会議も同じです。決めたのは、2人ずつ3手に分かれて護衛軍を王から引き離すこと。それと、奇襲を建国記念大会の前夜0時ジャストに始めること(→ キメラアント編の勝因は作戦にある)。王をどう倒すかまでは決めていません。

確認できるだけでも3つ、手順だけ決めて解散している。

会議が決めたものと、決めなかったもの

3つの会議を、決めたことと決めなかったことで並べてみる。

会議 決めたこと 決めなかったこと 手順を担ったのは
十二支んの会議 選出方法をくじで選び、ジンの案を採る 誰が会長になるか 十二支ん自身
V5の会合 利益を6等分、監視役はハンター協会 誰が暗黒大陸へ行くか ハンター協会
討伐隊の作戦会議 2人ずつ3手に分かれる、前夜0時ジャスト 王をどう倒すか ノヴの4次元マンション

3つとも、決めたとおりに動きました。

会長選挙は第1回から第8回まで決着しませんが、これは決め方が破られたわけではない。過半数の票が出なかったので、決めたルールどおりにやり直しただけです(→ 会長選挙が9回続いた理由)。

第3回からは投票用紙の確認が加わる。棄権・無効票を出した者の証を一定期間没収する運用も足された。足したのは同じ十二支んで、決め方そのものは変わっていません。

右端の列を見ると、手順が人に結びついているのが分かります。ここに収まらない人物が2人いる。

王宮に入った夜、ノヴは決めた役から抜けた

1人目はノヴだ。討伐隊の作戦で、ノヴは出入口を一人で担う役でした。4次元マンション(ハイドアンドシーク)で討伐隊を王宮の中へ送り込み、必要なら引き上げる。この役に代わりはいない。

ところが東ゴルトーへ潜入したとき、プフのオーラを浴びて心を折られてしまう。突入は無理だと判断され、ノヴ自身は前線に出られなくなる。

それでも手順は止まりません。出入口はそのまま残り、ノヴは負傷者の搬送に回ります。念空間は、傷ついた者を戦場の外へ運び出す通路として使われ続けた。

ここで欠けたのは人だ。手順そのものは欠けていない。会議が決めた形は、決めた当人が前に出られなくなっても回り続けました。分類だけ見ていると、この切り離しは見えません。

選挙が決着した直後、パリストンは自分から降りた

2人目はパリストン。会議でくじ引きを引き出したのは、もとはパリストンの立候補の提案でした。決め方が決まったあとも、副会長の座に居たまま候補として選挙に残る。そして第13代会長に選ばれた。

ところが当選の直後、チードルを副会長に指名したうえで自分から会長を降ります(→ パリストンの念能力が描かれない設計)。会長になったのはチードルで、こちらが第14代です。

ノヴとの違いは、抜けた場所です。ノヴは手順の途中で担えなくなった。パリストンは、手順が最後まで回って出た結論を捨てている。

9回かけてたどり着いた結論を、1人の辞退が空にした。手順には人を縛る力があるのに、結論にはそれが無い。俺にはここがいちばん奇妙に見えます。

会議が決めているのは手順で、結論は外で出る

3つの会議と、そこから外れた2人を並べると、共通点がはっきりする。十二支んもV5も討伐隊も、決めたのは手順だけ。誰が会長になるか、誰が暗黒大陸へ行くか、王をどう倒すかは、どれも会議の外で決まっています(→ ハンターハンターの背きは2種類)。

手順は丈夫だ。ノヴが前に出られなくなっても出入口は残り、票が割れても8回やり直せる。担い手が欠けても、形は回り続けます。

弱いのは結論の側でした。手順が最後まで回って出た答えを、守る義務は誰も負っていない。パリストンはそこを1人で外した。話し合いの場面が物語を決着させないのは、決めているものが手順だけだからだと読めます。

まとめ|ハンターハンターの会議が決めているのは手順だけ

  • 十二支んの会議が決めたのは会長の選び方。選出方法をくじで選び、ジンの案(全ハンターが候補者であり投票者でもある)を採った。当選の条件は先に定められていた側で、投票率95%以上はネテロが遺した規定にある
  • V5の会合は利益を6等分し、ビヨンドの監視役をハンター協会に振った。討伐隊の作戦会議は2人ずつ3手と前夜0時ジャストを決めた
  • 3つとも決めたとおりに動いている。会長選挙が8回やり直されたのは過半数の票が出なかったからで、決め方どおりの動き
  • ノヴはプフのオーラを浴びて前線に出られなくなったが、出入口は残り、本人は負傷者の搬送に回った。手順は止まっていない
  • パリストンは第13代会長に選ばれた直後、チードル(第14代)を指名して自分から降りた。手順が出した結論のほうが空になった

会議が決めているのは手順です。その手順は担い手が欠けても回るのに、出た答えを守る義務は誰にも課されていない。

話し合いの場面が物語を決着させない理由も、そこにありそうだ。

関連記事:

タイトルとURLをコピーしました