念能力がよく似ているのは、ジョジョのスタンドより、第1部・第2部の波紋のほうです。
念は、修行で精孔を開くところから始まり、誰もが同じ基本の技を積んでいく。スタンドに近いのは、その先で使い手ごとに違う発の中身だけでした。ネットには「パクリ」の噂と、「後半の念はスタンド化した」という声があります。この2つを、身につけ方と強め方・発の決まり方・能力の中身の3点から確かめます。
※『ジョジョの奇妙な冒険』は第1・2部の波紋と、第3部以降のスタンドの仕組みに触れます(物語の結末には触れません)。ハンターハンターは天空闘技場編・ヨークシン編・キメラアント編・王位継承編の能力に触れ、扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
ハンターハンターとジョジョはどっちが先か|パクリの噂とスタンド化説
噂そのものは古くからあります。Yahoo!知恵袋には「ハンターハンターってジョジョのパクりと言う噂を聞いたことがある」という質問が立っている。2013年の回答の1つは、念能力の設定はスタンドとは全く違う、と返していました。
もう1つは、後半の念がスタンドに寄ってきたという声です。2022年に37巻を読んだ感想を書いたブログ「未来世紀アラカワ」がその例。念が他人に発動させられ、勝手に発が決まるのが当たり前になってきた、と書いている。ツェリードニヒの能力については、ジョジョのキングクリムゾンの名前を出していました。
どちらが先かで言えば、スタンドが先。スタンドが出てくるジョジョの第3部は、ハンターハンターの連載が始まる前の作品です。確かめたいのは、念がスタンドと同じ作りになっているかのほうでしょう。
念能力の身につけ方と強め方は、スタンドより波紋に近い
念は、体のオーラの出口である精孔(しょうこう)を開くところから始まります。ウイングは、精孔を「ゆっくり起こすか、むりやり起こすか」だと話している(6巻 No.048)。そのうえでゴンとキルアの精孔を、むりやり開けました。
ジョジョの波紋は、特殊な呼吸法で生み出す力です。ジョナサンはツェペリに導かれ、ジョセフはリサリサのもとで修行して身につけた。誰にでも覚えられるわけではなく、適性が要る。ジョセフのように、生まれつき使えた者もいます。
似ているのは、外から起こしてもらう方法まであるところ。ツェペリは、ジョナサンの横隔膜を指で突いて、波紋の呼吸を整えさせています。精孔をむりやり開けたウイングの手と、役目がほぼ重なる。俺が念と波紋をいちばん近いと思うのは、この場面です。
スタンドの目覚め方としておもに挙がるのは、生まれつきか、矢に射られるか。血縁の影響のような経路もあります。修行の成果がスタンドになる場合もあるとされる。それでも、波紋や念のように師匠について最初から習う形は、おもな経路ではありません。
ただ、念にも修行なしで使えていた者はいます。ネオンは師匠もなく、念だという自覚もないまま能力を使っていた。キメラアントの王と護衛軍も、生まれながらに念を持っています。それでも作中で語られる念の目覚め方は、ゆっくりか、むりやりかの2通りです。
覚えたあとの伸ばし方も、修行が中心という点では波紋に近い。ウイングが纏から順に教えたように、念は四大行を積み上げて強くなります(→ ウイングが最初に教えたのは纏)。念を覚える場面が描かれた者には、師が付いていることが多い。ゴンとキルアにはウイング、クラピカにはイズナビ、ツェリードニヒには護衛のテータがいました。ツェペリやリサリサに学ぶ波紋と、ここも同じです(→ ハンターハンターに念の独学者はいない)。
一方で、スタンドも修行と無縁ではない。シルバーチャリオッツは、訓練で速さや精密さを伸ばせるとされる。本人の精神の成長で、新しい能力に目覚めるスタンドもあります。念にしかないのは、制約と誓約です。条件を自分に課して力を上げる仕組みは、波紋やスタンドの設定には見当たりません(→ 制約と誓約は“念の交換レート”)。
後半の念能力は他人に発動させられ、勝手に発が決まるのか|恋のエチュードと刹那の10秒
スタンド化説の言い分は、他人に発動させられることと、発が勝手に決まることの2つです。ブログが名前を出したツェリードニヒと、他人の能力で念を使えるようになるモレナの発症者を確かめます。表の下の2人は、比べるために加えた例です。
| 念能力者 | 念を使えるようになった経緯 | 発を決めたのは |
|---|---|---|
| モレナの発症者 | モレナの唾液で発症し、すぐ念を使える | 本人。レベル20を超えると独自の発を持つ |
| ツェリードニヒ | 護衛テータの指導で四大行を修行 | 本人の内側。念獣が無自覚に生まれた |
| クラピカ | 師はイズナビ(精孔が開く場面は描かれない) | 本人。鎖を具現化すると決めて修行した |
| ネオン | 修行も師匠もない | 本人。念だという自覚がなかった |
「他人に発動させられる」は、モレナの発症者には当てはまります。ただ、他人が握っているのは、念を使えるようになるきっかけとレベルのほう。恋のエチュードは、相手を発症者に変えて念を使えるようにする。けれど、レベル20を超えて取る発は、発症者それぞれのものでした(→ モレナの念能力“恋のエチュード”)。
「勝手に発が決まる」は、ツェリードニヒには当たっています。刹那の10秒は本人の発ですが、自分で設計した発ではない。四大行の修行中に、本能が無自覚に念獣を生み出しました。本人の内側から勝手に形が出てくる点は、確かにスタンドに近い(→ ツェリードニヒの念能力が“反則級”な理由)。
王子たちの守護霊獣は、表に入れていません。壺中卵の儀で外から憑くもので、王子が自分で作った発でも、他人に決められた発でもないからです。形と能力に本人の人となりが出るとされますが、別の仕組みとして分けました。
並べてみると、他人が握るのは念を使えるようになるところまで。勝手に決まる例はあっても、決めているのは本人の内側です。通説が挙げる例でも、発そのものは本人の側にある。
念能力の中身はスタンドに近い|違うのは1人1つと限らないこと
能力の中身だけを見ると、念はスタンドに近づきます。系統は生まれ持った性質で決まり、水見式で分かる(→ 念能力の六系統と水見式・六性図)。そのうえで発は、本人が作るものです。
クラピカは「具現化しようと決めてから」鎖のイメージ修行に入りました。スタンドも本人の精神から生まれ、性格や願望が能力に表れることが多い。使い手ごとに違う能力を持つという点で、2つはよく似ています。
違うのは数です。スタンドは1人につき1体とされる。クラピカは右手の5本の鎖に別々の能力を持ち、緋の眼のときは絶対時間も使います(→ クラピカの念能力は具現化系)。念は、1人1つと決まっていません。
もう1つ、念には全員が同じように覚える基本の技があります。纏・絶・練・発の四大行は、誰が覚えても同じ技術です。ここは波紋の作りに近い。波紋も力そのものは共通で、使い手ごとに違うのは使い方のほう。シーザーはシャボン玉に、リサリサはマフラーに波紋を通していました。
念能力は波紋からスタンドへ進む作り|スタンドだけを写した力ではない
ジョジョでは、波紋は第1部・第2部の力で、スタンドは第3部から出てくる力です。念は、その2つを1つの力の中で順に通ります。
精孔を開いて四大行を積むまでは、呼吸法を覚える波紋と同じ修行の力。発に進むと、使い手ごとに違う能力になり、スタンドに近づく。
スタンドが先にある以上、似たところが気になるのは自然です。ただ、似ているのは発の中身という最後の段階だけでした。念能力は、波紋のような修行で始まり、スタンドのような固有の能力で終わる作りです。
まとめ|念能力とジョジョのスタンドの違い
- スタンドのほうが先だが、念はスタンドと同じ作りではない。身につけ方と強め方は波紋に近い
- 念は精孔を開く修行から始まり、外からむりやり開ける方法まである点が波紋と重なる。ネオンや王と護衛軍のように、生まれつき使える者もいる
- 条件を課して力を上げる制約と誓約は、念にしかない
- スタンド化説が挙げる恋のエチュードや刹那の10秒も、発そのものは本人の側にある
- 使い手ごとに違う能力という中身はスタンドに近いが、念は1人1つと決まっていない
精孔と修行の順番は、ウイングが最初に教えたのは纏と精孔とは・絶・纏・練・発の違いで詳しく見ています。冨樫の前の作品と比べた記事なら、幽遊白書とハンターハンターの似てるキャラ、ゴンに重なるのは雪菜もどうぞ。
