ビーンズは、ハンター協会で会長の言葉と手続きを誰かへ運ぶ役に徹した人物。自分の判断で動いた場面は1つしかありません。
この役が本当に効いてくるのは、ネテロが死んだあと。本人がいなくなっても、会長の言葉は預かったビーンズを通って十二支んへ届き続けます。もしビーンズが自分の考えで動く人物だったら、どうなっていたか。場面を順に確かめていきます。
※会長選挙編の結末に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
ビーンズの登場場面は、どれも何かを誰かへ渡している
ビーンズの出番は、ハンター試験と会長選挙、それに暗黒大陸編の入り口に集まっています。何をしたかを、誰へ何を渡したかで並べると次のとおり。
| 場面 | ビーンズがしたこと | 渡したもの |
|---|---|---|
| ハンター試験の会場(1巻) | 受験者に番号札を配る | 協会の手続き |
| 第2次試験(2巻) | メンチの全員不合格の連絡を受ける | 試験官の判断 |
| 最終試験のあと(5巻) | 合格者にライセンスを説明する | 会長の指示 |
| 会長選挙の前(30巻) | 預かっていた遺言のDVDが十二支んの前で流れる | 会長の遺言 |
| 選挙方式のくじ(30巻) | 十二支んの案からくじを引く | 十二支んの案 |
| 選挙のあと(32巻) | 2枚目のDVDを明かす | 会長の遺言 |
| ビヨンドの電話(33巻) | 十二支んへ取り次ぐ | 外からの連絡 |
ハンター試験のビーンズは、受験者と会長のあいだに立つ事務方です(→ ハンター試験は強さを測る試験?)。配る、受ける、説明する。
どの場面にも、ビーンズ自身の考えは入っていない。渡しているのは会長の指示か、協会の手続きか、誰かの判断です。
ビーンズは意見を持っていても動かない
考えが無い人物ではありません。31巻には、ビーンズの心の中が出てきます。パリストンを副会長にした人事は、今も間違いだったと思っている(→ パリストンの念能力が描かれない設計)。
それでも、パリストンを外すために動いた場面は描かれません。選挙のあいだも、ビーンズは運営の側で手続きを回しています。
遺言の場面にも、似た形があります。最初の映像が流れたあと、ビーンズはミザイストムに聞かれます。会長がほかに何か言い残していないか、と。ビーンズは無いと答えている。実際には2枚目のDVDを預かっていました。
2枚目が出てくるのは選挙のあと。会長が決めておいた条件がそろってからです。
最初の答えは、嘘と取ることもできる。ただ、条件がそろうまで出すなという指示に従ったと取ることもできます。後者なら、ここでも会長の決めた順番を守っていたことになる。
ビーンズが自分で決めたのは会長選挙のくじだけ
1回だけ、ビーンズが自分で決めた場面があります。会長選挙の方式を決める、くじの件です。
方式は、十二支んがそれぞれ出した案からくじで選ぶことになっていた。引く役に第三者として呼ばれたのがビーンズでした(→ 会長選挙が9回続いた理由)。出てきたのはジンの案。
あとの回想で、からくりが明かされます。ジンは2日前、ビーンズに自分の案の紙を渡していました。同意するなら決まった形に折って持っておけ、と。乗るかどうかは、ビーンズに任されていたわけです。
ビーンズは乗った。くじを引いたように見せて、ジンの案を出しています。協会の手続きを自分の判断で動かした、ただ1つの場面。
ただし、通ったのはジンの案でした。ビーンズが選んだのは自分の考えではなく、他人の案を通すことのほう。例外の1回も、形としては「渡す」に収まっています。
冨樫がビーンズを運ぶ役に置いた理由
俺には、ビーンズは協会の中で「言葉を運ぶ人」として置かれているように見えます。試験では会長の指示を受験者へ。選挙の前後は遺言を十二支んへ。そのあとはビヨンドの連絡を十二支んへ。
この位置が効くのは、会長が死んだあとだと思う。ネテロ本人がいないのに、ネテロの言葉は2回に分けて十二支んに届きました。預かった人が中身を足さず、決められた順番で出したからこそ、と読めます。
もしビーンズが自分の考えで動く人物なら、遺言がそのまま届いた保証はありません。パリストンの人事を間違いだと思っていても、手を出さない。その控えめさが、死んだ会長の言葉を運べる理由になっているのではないか。
くじの1回も、この読みとはぶつかりません。自分で決めた唯一の場面で選んだのは、ジンの案を通すことでした。冨樫はビーンズに、ただ1回の決断さえ他人の言葉を運ぶ形で描かせたのだと思います。
まとめ|ビーンズは会長の言葉を運ぶ役に徹している
- ビーンズの場面は、番号札・ライセンスの説明・遺言のDVD・電話の取り次ぎなど、ほとんどが会長の言葉と協会の手続きを運ぶ役
- パリストンの人事を間違いだと思っていても、外すために動いた場面は無い
- 自分の判断で手続きを動かしたのは、会長選挙のくじの1回だけ
- その1回も、通したのは自分の案ではなくジンの案だった
- 会長が死んだあと遺言が2回に分けて届いたのは、ビーンズが中身を足さず順番を守ったから、と読める
選挙の規定と票の割れ方は会長選挙が9回続いた理由へ。選挙の決着はチードルが会長になった経緯で扱っています。協会そのものの立ち位置はハンター協会は国家の上にいないもどうぞ。
