クルタ族が滅ぼされた理由は、緋の眼が高く売れるから。誰でも一度は目にする説明です。
原作と照らすと、これは外れていない。むしろ説明の届く範囲が広い。現場に残っていたのは、値を上げるところまで手をかけた跡に見えます。
よく見かける3つの言い方を、原作の描写と1つずつ確かめます。
※ヨークシン編と、0巻「クラピカ追憶編」の内容に触れます。
クルタ族は戦えない民族だったのか
先に、はっきりしている話から見ていきます。人里離れた場所に隠れ住み、戦う力がないから抵抗できずに滅ぼされた、という説明。質問サイトの回答にも、念能力者ではないので旅団には対抗できなかった、と書かれています。
クルタ族が暮らしていたのはルクソ地方。構成人数は128人。外へ出るには試験があり、通った者だけが村を離れられました。クラピカもその試験に合格して村を出た。生き残ったのは、そうやって外にいた彼だけです。
閉じた小さな共同体なのは確かだ。ところが本編には、正反対の証言があります。
クラピカの緋の眼を見たウボォーギンが、あれは大仕事だった、あいつら強かった、と思い返している。旅団一の腕力を持つ男が、手応えのあった相手として覚えていた(→ ウボォーギンの念能力ビッグバンインパクト)。
この見方は本編と合いません。隠れて暮らしてはいたが、簡単に倒せる相手ではなかった。
クルタ族の緋の眼が高く売れるから、で合っているのか
いちばんよく見るのがこれ。緋の眼は世界七大美色の1つとされ、闇市場で高値が付く。だから売るために殺された。まとめサイトでも百科系の記述でも、そう説明されています。
照らし合わせると、外れていません。ただし「売るため」の範囲が、思われているより広い。
緋の眼の値打ちは色の深さで決まります。感情が高ぶると瞳は赤く染まり、その状態のまま死ぬと色が残る(→ 緋の眼はなぜ市場を渡り歩くのか)。
事件を報じた記事が伝えた現場は、こうでした。虐殺そのものは作中に描かれていない。読者が知るのは記事の文面だけです。
- 家族どうしが向き合う形で座らされていた
- 全身を刺されたうえ、息のあるうちに首を落とされていた
- 純血のクルタ族は両目をくり抜かれていた
- 村の外から来て加わった人たちは、眼球を持ち去られずその場で潰されていた
向き合わせて座らせる配置に、戦闘上の意味はありません。互いの姿を見せるためとしか考えられない。ただし、その狙いまでは記事に書かれていない。
怒りや悲しみのような強い感情で発した緋色が、最も深く鮮やかだとされます。息のあるうちに傷を重ねたのも、息絶える瞬間に色を濃く残すため。そう考えるのが自然だ。
拷問は目的から外れた行為ではなく、品の質を上げる工程として組み込まれていた。現場の状態からは、そこまで読み取れます。「高く売れるから」という一言が、殺した理由だけでなく殺し方の細部まで届いてしまう。
正しい理解はこうなります。緋の眼が動機だという説明は本編と一致する。ただし「取りに来た」という話ではない。「良い状態で取るために手順を組んだ」という話だった。
クルタ族を襲ったのは旅団ではない、という説
3つ目は、真犯人が別にいるという説。考察系のブログやまとめで繰り返し取り上げられています。
挙げられる根拠は主に2つ。事件を報じた記事に、流星街が報復のときに残すのと同じ言葉が載っていたこと。そして、この襲い方が旅団の普段の仕事と違って見えることです。
はっきりしているのは、旅団が襲ったところまで。ウボォーギン自身が自分たちの仕事として振り返っています。
一方で、依頼を受けての襲撃だったのか、旅団の判断だったのかは書かれていません。買い手がいたのかどうかも同じだ。
黒幕がいるともいないとも言われていない。この説は否定せず、保留しておくのが正確な扱いです。
埋まっていないのは、誰のために集めたのかの1点
ここまでを整理すると、残った空白の形がはっきりします。
分かるのは、現場の状態と、そこから見える狙いまで。値の高い緋の眼を作って持ち去る。座らせ方も傷の付け方も、そこへ向かって揃っている。
書かれていないのは、その先だ。誰のために揃えたのか。売り先を自分たちで決めたのか、先に求めた相手がいたのか。買い手の有無を含めて、ここだけが空いています。
動機は見えているのに、渡した先が見えない。俺は、冨樫がここをわざと空けたのだと思っています。
だからクラピカの復讐は、相手を倒しても終わりません。眼は次々と持ち主を変えていて、たどっても最初に求めた相手には届かない。旅団も団員が入れ替わり、番号だけが引き継がれていく(→ 幻影旅団の団員ナンバー一覧)。
読者も同じ位置に置かれる。現場は全部見せられて、その先だけ渡されない。何年たってもこの事件の考察が止まらないのは、そのためだと思います。
まとめ|クルタ族の滅亡で分かっていること
- 戦えない民族だったという見方は、ウボォーギンの回想と噛み合わない
- 緋の眼が動機だという説明は本編と一致する
- 純血のクルタ族と、外から加わった人たちで扱いが分かれていた
- 家族を向き合わせて座らせたのも、息のあるうちに傷を重ねたのも、色を濃くする工程として読める
- 依頼か自発か、買い手がいたかは書かれておらず、断定できない
殺し方まで値段の理屈で揃っている。それが分かるほど、渡した先の空白が重くなります。
関連記事:
- 緋の眼はなぜ市場を渡り歩くのか — 持ち去られた眼がその後どう扱われているか
- クラピカの念能力は“二段構え” — 生き残った1人が用意した戦い方
- ウボォーギンの念能力ビッグバンインパクト — 大仕事だったと振り返った男の強さ
- クラピカ死亡説の根拠は3つ — 復讐の先に何が待っているか

コメント