トンパの目的は試験の途中で変わる|35回落ち続ける男の実像

新人潰しのトンパは、かませ役扱いされ、ネタキャラとして語られる。ただ287期の記録を見ると、彼は三次試験のトリックタワーを抜けています。

落ち続けているのは、弱いからではありません。しかも試験の後半では、新人潰しをやめて合格を狙い出す。

よく見かける2つの言われ方を原作と照らし合わせます。重いのは2つ目のほうで、そこにこの記事の答えがある。

※ハンター試験編の展開に触れます。

トンパが弱いから落ちている、は287期の記録と噛み合わない

まず1つ目。実力不足で落ち続けているという見方です。まとめサイトのスレッドでも百科系の記述でも、かませ役として扱われることが多い。

ところが287期のトンパは一次試験を抜け、二次も抜け、三次のトリックタワーも通過しています。三次を通過した25人は、一次試験に並んだ405人のうちの上位6.2%。ほとんどの受験者より先まで進んでいる。

トンパについて残っている数字は、受験35回で歴代2位、本試験への連続出場30回で歴代1位。会場にたどり着く力は、繰り返し示していることになります。

一次試験の会場に着くこと自体が試験の一部だからです。行き方は公表されず、ナビゲーターを経由しないとたどり着けない。同じ試験を合格率の側から数えた記事もある(→ ハンター試験の合格率は約58万分の1)。

もっとも、四次で彼はクラピカに敗れている。合格に届かないことと弱いことは、分けて見る必要がある。

トンパに合格する気がない、は前半にしか当てはまらない

こちらが本題です。根拠は原作のセリフ。三次試験のトンパは、ハンターになる気なんかハナからないとレオリオに言い切っている。

ここだけ見れば言われ方どおり。ところが四次試験に入ると態度が変わります。同じレオリオに同盟を持ちかけ、「ここまで来たら新人潰し所じゃない」と口にする。そのままプレート集めに動き出した。

前半は新人潰し、後半は合格狙い。目的が試験の途中で入れ替わっています。

287期のトンパを説明できる言い方は、「合格する気がない」ではありません。合格する気になるのが遅い、が近い。

新人潰しは、実際にはどう働いたのか

では肝心の妨害はどうだったか。287期の本編を見ると、下剤入りのジュースで倒れた受験者は一人も描かれていません。

ゴンは一口で吐き出した。クラピカとレオリオは、それを見て手をつけていません。ハンゾーとニコルは受け取りもしなかった。

飲み干したのはキルアだけで、こちらは平気だった。毒に慣らされているから効かない、と本人が明かしています。いちばん知られた手口が、誰にも通じていない。

一方で、成功した妨害もあります。一次試験のマラソンで、ニコルは消耗していた。そこへトンパの入れ知恵を受けたアモリ3兄弟が言葉で追い込み、ニコルは最初の脱落者になった。四次試験でも、ソミーと組んでレオリオのプレートを奪いました。

効いたのは、人を動かしたときだけ。自分で仕掛ける妨害は大したものではありません。その場にいる誰かを使うほうが上手い。

目的が2つあって、どちらにも届いていない

整理すると、287期のトンパはこうなります。四次試験まで届く実力がある。前半は新人潰しに時間を使い、後半になると合格を狙い出す。

どちらか一方に徹していれば、結果は違ったはずです。最初から合格だけを目指せば、405人中の上位6.2%に入る力はある。潰すことだけが目的なら、三次まで進む必要はない。

少なくとも287期は、途中で目的が入れ替わった年でした。35回という数字も、同じことの繰り返しだったとすれば説明がつく。原作が描いているのは287期の1回だけ。そこから先は推測です。

試験の側と並べると、違いがはっきりします。ハンター試験の課題は、その年の試験官しだいで中身が変わる(→ ハンター試験の試験官に基準はない)。試験官は毎年入れ替わるのに、トンパのほうは会場に居続けている。

287期の会場には、制度が用意したわけではない小さな関門が置かれていた。見知らぬ相手から差し出された飲み物を受け取るかどうか。誰にも通じていないのに、本人は配るのをやめない。俺は、ここに冨樫らしさがあると思っています。

トンパを「無能」と呼べるかどうか

呼べません。ただし有能とも言い切れない。

35回のあいだ続いているのは、合格そのものより、毎年この場に来ることのほうです。ハンターの肩書きを持たないまま、試験会場の常連でいる。称号を持つ者たちとは別の立場です(→ ハンターの種類は数えられない)。

トンパは無能でも有能でもない。目的を1つに決められない受験者、というのがいちばん近いはずです。

まとめ|トンパは弱くもやる気がないわけでもない

  • 「弱いから落ちる」は287期の記録と噛み合わない。三次を通過し、405人中の上位6.2%に入っている
  • 「合格する気がない」は前半だけ。四次試験では「新人潰し所じゃない」と合格を狙っている
  • いちばん知られた下剤入りジュースは、287期の本編では誰にも効いていない
  • 効いたのは、アモリ3兄弟やソミーなど人を動かしたとき
  • 287期は途中で目的が入れ替わった年だった。35回ぶんが同じだったかまでは原作に描かれていない

人を動かすのが上手い男が、その上手さを自分の合格には向けていない。

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