ゴレイヌ最強説を、俺は長いことただのネタだと思っていました。見せ場の少ない脇役を最強と呼ぶ、ファンの定番の冗談だと。
でも検証してみると、最強説は半分が盛りで、半分が本当でした。盛られているのは「最強」の部分。本当なのは、脇役に似合わない能力の完成度です。ネットで語られる根拠を原作と照らして、どこまでが実力で、どこからが愛なのかに線を引きます。
※グリードアイランド(GI)編(13〜18巻)、主にレイザー戦(16〜17巻)の内容に触れます。
ゴレイヌ最強説とは|ネットで語られている中身
ネタ半分、本気半分。掲示板や質問サイトのゴレイヌ最強説は、だいたい次の3つで組み立てられている。
- 入れ替え能力が瞬間移動並みで、使い方しだいで最強クラス
- 出番は少ないのに、判断力も人格も完璧な隠れた実力者
- ゴリラ2体の具現化と入れ替えを両立する、容量(メモリ)配分の天才
「本当に強いの?それともネタ?」という質問が投稿サイトに立つくらいだから、判断しかねている人は多い。まず検証の材料になる原作の出番をそろえて、誇張の大きい説から片づけます。
前提の整理|ゴレイヌの見せ場はGI編に集中している
ゴレイヌの念能力は「白の賢人」と「黒い賢人」のゴリラ2体
ゴレイヌの念能力は、具現化したゴリラの念獣2体。白の賢人(ホワイトゴレイヌ)は、白いゴリラと自分の位置を入れ替える。黒い賢人(ブラックゴレイヌ)は、黒いゴリラと他人の位置を入れ替えます。
自分を動かす白と、相手を動かす黒。役割のはっきり分かれた2体です。ゴリラは離れた場所でも動かせる。ただし、ゴレイヌが気を失うと消えており、置いておくだけで働き続ける自動型ではない。
実績はレイザー戦のドッジボールが、ほぼすべて
見せ場は、ゲームマスターの一人レイザーとのドッジボール対決。ゴン・キルア・ビスケ・ヒソカらのチームに加わり、命がけの球技に付き合った。
この試合でゴレイヌは、黒い賢人でレイザーの位置を強制的に動かし、その顔面にボールを当てています。直後に、レイザー側の念人形が投げ返した剛球で気絶して退場。それでも、格上の相手に一発入れた数少ない場面を作った。
出番はここでほぼ終わり。のちの会長選挙編にも、ゴンの病室へ駆けつける顔見せ程度の再登場があります。
検証①「瞬間移動並みの入れ替え」を原作と照らす
通説の中身は、入れ替えは実質テレポートで、奇襲にも防御にも使える万能技だというもの。
原作の仕様を見ると、入れ替えの相手はあくまでゴリラです。まずゴリラを具現化し、狙った場所まで動かして、初めて入れ替えが成立する。手数が要る能力です。
照らし合わせた結果、「移動手段として強力」は一致。ピンチの仲間の場所へゴリラを送れば救出になり、敵の隣にゴリラを立たせれば奇襲になる。応用の幅は本物です。一方で「瞬間移動並み」は誇張。ゴリラの配置という前提条件が常に付くから、どこへでも飛べるテレポートではありません。
検証②「隠れた実力者」は本当か
2つ目の根拠は、「冗談抜きで最強クラス」という言い方で語られる。
原作にある材料はこうです。プレイヤー同士の殺し合いも起きるGIで生き残ってきた。レイザー戦では、強者ぞろいのチームの中で有効打も出しています。そして気絶するまで、逃げずに前線に立ち続けた。
ここから言えるのは「優秀」まで。作中でゴレイヌが戦った場面はドッジボール一度きりで、対人戦の実績はゼロ。旅団やプロ上位と比べる材料が、そもそも存在しない。「最強クラス」は、描写の空白をファンの想像で埋めた部分です。
検証③「メモリ配分の天才」を採点する
3つ目は、ゴリラ2体の具現化に遠隔操作と入れ替えまで積んだ高等技術だという根拠。系統の内訳は作中で語られていないため、ここは断定できません。ただ、具現化した念獣を離れた場所で操り、位置まで入れ替えるのは事実です。
俺の採点は「天才」寄り。根拠は、同じ具現化タイプの失敗例との比較です。自分そっくりの人型を具現化して、ヒソカに容量(メモリ)のムダ使いと評されたカストロの分身(ダブル)。カストロは自分の精密な再現に容量を注ぎ込み、本業の拳法を圧迫しました(カストロ戦の駆け引きはヒソカの念能力で扱っています)。
ゴレイヌのゴリラは逆です。精密な人間の再現をやめ、「入れ替えの的」としての機能に絞っている。同じ具現化でも、容量の使い方に無駄がない(メモリと強さの関係は念のメモリ論で整理しています)。最強説の根拠の中で、ここがいちばん原作の裏付けが厚い部分です。
最強説の正しい楽しみ方|ネタの土台に原作がある
3つの検証を並べ直すと、ゴレイヌ最強説は「盛り」と「土台」の二層に割れます。「最強」は盛られている。でも、盛りの土台には原作の描写がちゃんとある。
短い出番の中で、能力設計に穴がなく、判断は的確で、仲間のために体を張る。減点する材料が見当たらないから、想像で加点したくなる。ゴレイヌ最強説はデマではなく、冨樫が脇役にまで仕込んだ作り込みへの、愛のある誇張です。
だからこの通説は、真に受けるものでも、切り捨てるものでもない。ネタと分かった上で、GI編を読み返してゴレイヌの動きを追うのが、いちばん楽しい読み方です。
まとめ|ゴレイヌ最強説は半分が本当
- ゴレイヌの念能力は、自分と入れ替わる白の賢人と、他人と入れ替わる黒い賢人のゴリラ2体
- レイザー戦では入れ替えでレイザーの顔面にボールを当て、気絶するまで前線に立った
- 「瞬間移動並み」「最強クラス」は誇張。ただし応用の幅と判断力の描写は原作にある
- ゴリラ2体の容量配分はカストロのダブルと比べると無駄がなく、「地味に天才」には裏付けがある
- 最強説はネタとして楽しみつつ、土台にある冨樫の脇役の作り込みまで味わうのが正しい遊び方
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