「ジンの目的は何か」で検索すると、たいてい「暗黒大陸」か「ゴンとの再会」という答えが返ってきます。でも原作のジン=フリークスが追っているのは、特定の到達点ではなく、探し続けるという行為そのものです。
よく挙がる2つの説を原作と照らして△か×かを確かめ、最後に「そもそもジンにゴールはあるのか」に答えます。これがこの記事でたどり着く結論です。
※この記事は単行本既刊の内容(暗黒大陸編まで)に触れます。未読の方はご注意ください。
「ジンの目的=暗黒大陸」説 ── 原作と照らすと△
ジンを扱うまとめ記事や考察サイトでいちばん多い答えが、「目的は暗黒大陸の探索だ」というもの。確かにジンは、ネテロの息子を名乗るビヨンドが率いる暗黒大陸の探索隊(ビヨンド一派)に、自分から加わっています。出どころとしては説得力があります。
ただ、加わるときのジンは少し妙でした。一刻も早く出発したい、ではありません。「自分をNo.2の座に就ける」ことのほうにこだわっています。これはパリストンという食えない相手との駆け引きを楽しむ動きで、目的地へ突っ走る人の動きではない。
世界樹でゴンに会ったときも、ジンは「別に急いでいない」「道中を楽しんでいる最中だ」と言っています。暗黒大陸が"何としても今すぐ着きたいゴール"なら、こうは言わないはずです。
だから判定は△、半分だけ当たりです。暗黒大陸は今いちばん面白がっている探索の舞台ではあるけれど、そこに着けば終わり、という終着点ではありません。
そもそも暗黒大陸は人類が何度も挑んできた場所で、ジンの祖先とされるドン=フリークスもその記録を残したと作中で語られます。一族にとって探索は終わりのない営みで、暗黒大陸はその途中の一歩に近い。
「ジンの目的=ゴンとの再会」説 ── 愛情は本物でも△
もう1つ根強いのが、「ジンの本当の目的はゴンだ」という読み方です。グリードアイランドはゴンの修行のために作られたとビスケが推測していて、ジンはゴンへ「それでも会いたきゃ探してくれ」というメッセージも残しています。父子の物語として読めば、これも筋が通ります。
ただし、行動はその逆を向いています。ジンはゴンが赤ん坊のうちに島を離れ、ゴンを育てたのは故郷の身内(ミト)でした。自分は探索を続けたわけです。再会した世界樹でも、自分に同行させるのではなく、「道草を楽しめ」と言ってゴンを送り出します。
もし「ゴンに会うこと」が人生の目的なら、探索を切り上げてでも会いに行くはず。でもジンは急ぎません。会えたら嬉しい、けれどそのために探索をやめる人ではない。
ゴンへの愛情や「一流のハンターになってほしい」という願いは、ここまでの行動からも伝わってきます。それでも「ゴン=目的」と言い切ると、判定は△。
ゴンはジンのゴールではなく、同じ"探す生き方"を受け継いだ存在です。だからジンはゴンに自分の目的を押し付けるのではなく、自分で探せと背中を押す側に回りました。その生き方がゴン自身の強さにどう出たかは、ゴンの念能力=“覚悟”の記事で書いています。
結局、ジンの目的に“最終ゴール”はあるのか ── 答えは×
ここまでの2つの説に共通するのは、「ジンには1つの明確なゴールがあるはず」という前提です。「ジン 目的 何」と検索する時点で、俺たちは"答えになる目的地"を1つ期待している。
でも世界樹でのジンの言葉は、その前提ごと裏切ります。
「オレがほしいものは今も昔も変わらない 目の前にない『何か』だ」。欲しいものを、ジンはあえて『何か』としか言いません。名前のついたゴールを、最後まで口にしないのです。
続けてこう語ります。「だが別に急いでいない 道中を楽しんでる最中だ」。そして、ゴンの行き先がいつか自分と重なるなら——という条件を添えつつ、こう続けます。「道草を楽しめ 大いにな ほしいものより大切なものが きっとそっちにころがってる」。欲しいもの(ゴール)より、そこへ向かう道中のほうが大事だ、とはっきり言っているわけです。
念能力の系統すら、ジンは作中で明かされていません(→ 念能力の六系統 で系統の見分け方を整理しています)。作者はジンを「正体のつかめない存在」として、わざと描いているように見えます。
だから判定は×。「ジンに1つの最終ゴールがある」という前提が、原作と食い違います。ジンの目的は到達点ではなく、「目の前にない『何か』」を探し続ける行為そのもの。何か1つを"これがジンの目的だ"と名指しした瞬間に、たぶんジンを取り違えています。
考えてみれば、この作品のタイトルは「HUNTER」——探し求める者です。探し続けること自体を目的にできる、それがハンターという生き方の一番奥なのかもしれない。ジンはその体現で、ゴンもその生き方を継いだ。だから、ジンの目的を1つに決めようとするほど本当のジンから遠ざかる——俺はそう考えています。
まとめ|ジンの目的は「探し続けること」そのもの
- 「目的=暗黒大陸」は△(半分だけ正解)。今夢中になっている探索の舞台ではあるが、着けば終わりという終着点ではない
- 「目的=ゴンとの再会」も△。愛情は本物だが、会うために探索をやめる人ではなく、ゴンは目的ではなく"後継"
- 「ジンに1つの最終ゴールがある」は×。世界樹でジン自身が、欲しいものは「目の前にない『何か』」であり、道中こそ大事だと語っている
- ジンの目的は到達点ではなく「探し続けること」そのもの。作品タイトル「HUNTER」(探し求める者)の体現と言える
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