レオルがヂートゥに持ちかけた取引で、念を外したのはヒナ(ヒリン)でした。外した念は、ヒナの腹に預けられます。
ヒナは、上官や仲間の都合を自分の体で引き受ける位置に置かれた蟻。彼女が自分の欲を口にする場面は一度だけで、それは上官のいない宮殿にあります。そう考えると、この点にも説明が付く。除念の仕組みと、ヒナが動いた場面から確かめていきます。
※キメラアント編(18〜30巻)の結末に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
ヒナ(ヒリン)の除念は、外した念を腹に抱える能力
ヒナは、ハギャ(のちのレオル)の隊にいたキメラアント。肩書きは兵隊長で、師団長補佐とする資料もあります。
23巻のレオルは「ヒリン」と呼んでいます。資料によっては、東ゴルトーへ移ったあとに「ヒナ」と改名したとされる。
能力は除念で、他人にかけられた念を外せます。外した念の強さに比例して、ヒナの腹が膨らむ。念を外してやった相手が死ぬと、腹は元に戻ります。
除念で助かるのは、念を外してもらう側。代償の腹を抱えるのはヒナです。除念師ごとの外し方の違いは除念の方法で比べています。
ヒナの除念は、レオルとヂートゥの取引だった
ヂートゥは、ナックルの念獣ポットクリンを付けられていました(→ ナックルの念能力)。それを外してやると持ちかけたのはレオル。実際に外したのはヒナです。
23巻のレオルは、ヒリンがヂートゥの除念で動けないことを計算に入れている。ヒナが動けなくなることまで、上官の取引の一部でした(→ レオルの念能力)。
ヂートゥはのちにシルバに殺され、ヒナの腹は元に戻ります(→ ヂートゥの念能力)。
この2つの場面から読めるのは、ヒナの体が他人の取引と他人の生死を抱える場所になっていたことです。取引を決めたのはレオル、念をかけたのはナックル、死んだのはヂートゥ。ヒナ自身は、どの決め事にも加わっていない。
ヒナが動いた場面は、誰の目的だったか
除念の外でも、ヒナの場面は他人の目的で動くものが多い。誰の目的で動いたかで分けると、次のようになります。
| 場面 | 誰の目的で動いたか |
|---|---|
| ハギャの隊で兵隊長としてレオルに従う | レオル |
| ヂートゥの念を外す | レオル |
| 自分も女王を目指すと決める | ヒナ |
| 財宝と引き換えにビゼフを助ける | ヒナ |
| ジャイロを探して流星街へ向かう | ウェルフィン |
5つの場面のうち、ヒナ自身の目的で動いたのは2つ。その2つは、宮殿から逃げる途中の同じ一続きの場面に集まっています。
ヒナが自分の欲を見せた、宮殿からの脱出
ヒナが自分の欲で動くのは、27巻の No.285「分身」です。
討伐隊が宮殿へ突入したあと、レオルともフラッタとも連絡が取れなくなる。ヒナは仲間のシドレと、宮殿から逃げようとしていました。同じ一続きの場面で、ヒナは自分も女王を目指すと決めています(→ ハンターハンターの王)。
逃げる途中、瓦礫の下で動けなくなったビゼフに助けを求められる。ヒナは一度断ります。ところが地下に財宝があると聞くと、引き受けてビゼフを助け出しました。
俺がこの場面で気になるのは、上官と連絡が取れなくなった直後だという点です。預かる相手がいなくなった途端に、女王の座と財宝というヒナ自身の欲が出てくる。
ヒナの流星街への旅は、仮説に合うか
ここで、仮説に合わないように見える場面があります。王が死んだあとも上官はいないのに、ヒナは自分の欲では動いていない。
ヒナはウェルフィン・ビゼフと3人で、ジャイロを探しに流星街へ向かいます。ジャイロを探しているのはウェルフィンです(→ ウェルフィンの念能力)。
旅の目的として語られるのも、ウェルフィンのジャイロ探し。上官のいない時期でも、従う相手が見つかればヒナはその目的について行く。
そう考えると、仮説は少し絞れます。ヒナの欲が出たのは、上官がいないときではなく、従う相手が誰もいない宮殿の混乱のあいだ。次の相手としてウェルフィンが現れると、ヒナはまた他人の目的の側に戻りました。
ビゼフの側から見た同じ旅は、ビゼフで書いています。ビゼフは頂点を取りにいかない2番手でしたが、ヒナは一度だけ頂点の女王を目指している。
冨樫がヒナに持たせたのは、隊の都合を体で引き受ける位置
除念は、他人の念を自分の腹に預かる能力。ヒナの場面も、レオルの取引やウェルフィンの旅のように、他人の目的を引き受けるものに寄っていました。
冨樫は、能力と場面の両方で、ヒナを「隊の都合を体で引き受ける蟻」に置いたと俺は読んでいます。そう読むと、宮殿の場面にも筋が通る。
従う相手がいない短いあいだだけ、ヒナは女王の座と財宝を欲しがった。命令する蟻がいなくなると、下にいた蟻の欲がそのまま出てくる。冨樫はその瞬間を、他人の念を抱えてきたヒナに描かせたのだと考えられます。
まとめ|ヒナ(ヒリン)の除念と役割
- ヒナ(ヒリン)はハギャ(レオル)隊の兵隊長で、外した念を自分の腹に抱える除念師
- ヂートゥの除念は、レオルがヂートゥと結んだ取引で、ヒナは代償の腹だけを引き受けた
- ヒナ自身の欲が出たのは、上官と連絡が取れなくなった宮殿脱出の場面(女王を目指す・財宝と引き換えにビゼフを助ける)
- 王の死後は、ウェルフィンのジャイロ探しについて流星街へ向かい、また他人の目的の側に戻った
- 冨樫はヒナを、隊の都合を体で引き受ける蟻として置き、従う相手が消えたあいだだけ欲を見せさせた、と読める
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